山梨県産健味どりを備長炭で一本ずつ焼き上げる
ひな酉 ふじ乃が扱う鶏肉は、山梨県産の健味どりが中心。仕入れた丸鶏を店内でさばき、串打ちから焼き上げまでの全工程を手作業でこなしている。備長炭の熾火と炎を見極めながら距離を調整し、外側にしっかり焼き色をつけつつ内側の水分を逃さない焼き加減を追求している。盛り合わせではなく、焼き上がった順に一本ずつ出す提供方式を採っているため、温度と香りが落ちる前に口へ運べる。
個人的に印象的だったのは、ふりそでやソリレスといった希少部位がレギュラーメニューに並んでいる点だった。部位ごとに脂の入り方や繊維の向きが違うため、仕込み段階で状態を見極めてから焼き方を決めているという。「普段食べられない部位を気軽に頼めるのがうれしい」という声が常連客の間で目立つ。串一本の仕上がりに対する執着が、リピーターの多さにつながっている印象を受ける。
日替わりのおばんざいと回転する日本酒のラインナップ
定番の銘柄を数種類据えつつ、日本酒は日替わりで入れ替えを行っている。焼き鳥に合わせて香りの華やかなタイプからキレのある辛口まで幅を持たせ、来店するたびに違う一杯と出会える構成になっている。生ビールやハイボール、焼酎に加えてソフトドリンクやノンアルコールも揃えており、飲める人も飲めない人も同じテーブルを囲みやすい。日本酒の銘柄選びに迷ったときはスタッフに相談すると、その日の料理との組み合わせを提案してもらえる。
四季折々の食材を使ったおばんざいが日替わりで登場し、旬の素材の香りや甘みをそのまま活かした一皿が並ぶ。ある冬の夜にはかぶの煮浸しが串焼きの合間に出てきて、口の中をさっぱりと整えてくれたという来店客のエピソードもある。鳥料理のバリエーションも多彩で、その日の気分やお酒の種類に合わせて選べる自由度が高い。テーブルに料理が揃ったときの彩りまで意識しているのは、食事の時間そのものを楽しんでもらいたいという姿勢の表れだろう。
全33席の店内に漂う昭和の空気感
「人生を豊かにする食事の時間と空間づくり」を掲げるひな酉 ふじ乃は、料理だけでなく店内の空気そのものを設計している。木の質感を活かした内装と柔らかな照明が視界に入り、初来店でも肩の力が抜けるような雰囲気がある。昭和の大衆酒場を思わせる落ち着いたトーンの中で、一人晩酌にも仲間との宴席にも対応できる懐の深さを感じる。席ごとの距離感や視線の抜け方にまで配慮が行き届いており、周囲を気にせず食事に集中しやすい。
カウンター7席を含む全33席のうち、カウンターでは備長炭で串を焼く工程を目の前で見られる。炭がはぜる音、煙の立ち上がり、焼き色が変わっていく様子——そうした臨場感が食欲を刺激すると感じる利用者も多い。料理の提供タイミングや声かけの間合いにも気を配っていて、大げさなサービスではなく自然な形で居心地をつくっている。席の配置から料理の出し方まで、小さな積み重ねが空間全体の温度を決めている。
JR三鷹駅北口から徒歩約2分・年中無休の営業体制
営業時間は月曜から土曜・祝前日が17時から24時、日曜・祝日は17時から23時で、年中無休。料理のラストオーダーは閉店1時間前、ドリンクは30分前に設定されている。予約優先で案内を行っているため、訪問時間が決まっている場合は事前連絡を入れておくとスムーズに席へ通してもらえる。支払いは現金のほかクレジットカード、QRコード決済、電子マネーに対応しており、手持ちの現金を気にせず利用できる。
JR三鷹駅の北口を出て徒歩約2分という立地は、仕事帰りのちょっとした寄り道にもちょうどいい距離感だ。駅から近いため天候に左右されにくく、「雨の日でも気軽に行ける」という声が複数見られる。木目調の外観が通り沿いに現れるので、初めてでも迷いにくい。休日の散策途中や友人との待ち合わせなど、日常の延長線上で立ち寄れる気軽さが根づいている。


